愛玩犬としての歴史を紀元前から今に至るまで、
数千年にわたって歩んできたマルチーズ。
一度でも彼らと暮らしてみれば、その理由に納得がいくはずです。
まず、この賢さ。
トイレトレーニングもそれほど苦労する犬種ではありませんし、
お座りや待て等の服従訓練もすんなりと覚えてくれます。
時にはおもちゃの名前も覚え、「ニンジンとっておいで!」
「ウサギさんであそぼうか」などの言葉に
ちゃんと対応したものを持ってきてくれる子も。
また、感受性が高く、人の気持ちもよくわかります。
失恋したとき、いつもははしゃぎまわる子が神妙な顔で寄り添っていてくれた…
つらさを本当に分かち合ってくれるのは、
言葉の通じる人間より実はマルチーズだったりするかもしれません。
あまり見知らぬ人は好まず、誰にでも愛想を振りまくタイプとは違います。
マルチーズは吠え立てるよりも、まずはうなって威嚇する子が多いよう。
繊細な一面も持ち合わせており、急に食が細くなることも。
普段からちょっと小食気味の子も多く、
もしかしたら吠えるよりもこっちのほうが省エネだとわかっていたりして。
もっともワンワンと体に見合わぬ大きな子でよく吠える子もみかけます。
時には遺伝的に神経質で吠える子もいるようです。
元気で活発、時には純白の被毛が泥だらけになるのも気にせず
河原でおおはしゃぎすることもあるかもしれません。
けれどもいつでも騒いでいるわけではなく、こんなやんちゃ娘(?)でも
家では落ち着いて飼い主のそばでゆったりしていたりするものです。
人間の子供と遊びまわるよりも、
どちらかというと大人やご老人の腕の中でのんびりしたいタイプのようです。
あまり嫌な事をされると「イラッ…ぷちっ!」とばかりに
口が出てくることがあります。
社会化やしつけそのものも大切ですが、
あまり犬の扱いになれない人との接触には少し気を使うとよさそうです。
最後に、マルチーズは実に甘えんぼ。
「ご飯より抱っこ〜」と言わんばかり。
こんな調子で迫ってこられたら、もう脱帽するしかありません。
マルチーズ
ポメラニアン
ダックスフンド
ゴールデンレトリーバー
柴犬
マルチーズといえば絹糸のような手触り、純白の輝き、長いストレートの被毛です。
目の縁と鼻、唇、パッドが漆黒で、
「純白に漆黒」のコントラストが実に愛らしいのです。
これらは品種としての重要な特徴でもあります。
けれどもこれらを完全に兼ね備えたマルチーズは残念ながらそれほど多くありません。
被毛が白色のみという犬種が抱える共通の悩み「色素不足」が多々見られるのです。
時にはパッドがピンクの子も…。
けれどもそれも被毛が縮れてしまっている子よりはまだ目立たない欠点です。
色素不足の解消を目的としてプードルなどが交配に使われている場合があるようで、
マルチーズのスタンダードからずいぶん外れた子もしばしば見られます。
被毛はシングルコートと呼ばれるタイプで、
柴犬のように換毛期に集中してどっさり抜け落ちることはありません。
むしろあまり抜けることがないので、
毛玉にならないよう手入れをすることが大切です。
夏場にはずいぶん短くパピーカットにしたマルチーズを見かけることもあり、
チワワと一瞬混同してしまうことも。
けれどもマルチーズは垂れ耳。
それにチワワに比べると胴が長いのも特徴的です。
また胸がしっかりと張っており、足もそれほど長くはありません。
お腹のところがキュッと引き締まっているのも特徴です。
噛み合わせが悪い子もしばしばいるのですが、マルチーズは本来シザースバイト。
オーバーショットやアンダーショットはスタンダードから外れてしまいます。
体重は上限が3.2キロとされており、逆に軽量すぎるのもよくありません。
理想はオスメス共に2.5キロとされています。
体高は20〜24センチほど。
ちなみに平均的な大人がめいっぱい手の平を広げたときの、
親指の先と小指の先。これが20センチ前後です。
マルチーズがいかに小さい犬なのかがわかります。
ビーグル
キャバリア
フレンチブルドッグ
コーギー
ラブラドールレトリーバー
愛玩犬としてもっとも歴史のあるマルチーズは、
紀元前から世界各地で愛されてきました。
愛犬の姿を永遠にとどめておきたいと思うのは人種、古今東西を問わないのか。
紀元前500年頃ギリシャで作られた陶器にはマルチーズの姿が描かれています。
ギリシャ人はなんとマルチーズのためにお墓までたてたそうです。
ローマ人も負けずにマルチーズの肖像を描き、詩を後世に残したとか。
エジプトに渡ったマルチーズは王家で愛され、
金でできた食器を与えられたとの記録もあります。
イギリスに持ち込まれたマルチーズは王室のお気に入りに。
それを知った市民にマルチーズブームが訪れ、
街にはこの犬を抱いて歩くご婦人がたくさんいたそうです。
ヨーロッパ全体に広がったマルチーズ熱は、価格の異常な高騰にもつながりました。
こんな魅力的な犬を芸術界も見逃してはいません。
1830年「マルタ島のライオン・ドッグ」という絵画のモデルともなっており、
マルチーズについて書かれた書物も多数あったそうです。
狩猟や牧羊に根ざしたヨーロッパ諸国でこのように小型犬がブームになることは、
実にこの犬種の持つたまらないな魅力を物語っています。
住宅事情に恵まれない日本でマルチーズが流行したのも納得がいくところ。
近年はチワワやミニチュアダックスフンドに遅れをとったとはいえど、
それでも2008年度JKCでは登録数が10,720頭と11位におさまっています。
芸能人でもこの犬種を愛する人はたくさんいる模様。
ハロプロ出身女優に、超有名二世タレントも愛するマルチーズ。
さらには近年再結成して活動を始めたグループではこの犬種が人気の模様です。
マルチーズは人類が続く限り、永遠に腕の中にいてくれることでしょう。
ボストンテリア
ボーダーコリー
パピヨン
シーズー
ヨークシャーテリア
地中海の中心に浮かぶマルタ島。
古くから貿易の要として知られており、
フェニキアが栄えた紀元前1500年頃には
地中海諸国の中でも最も文明が発達した土地でした。
マルチーズはこの島で作り出されたとされています。
そのルーツとなったのはアジアで改良された小型犬だとか、
フェニキア人が持ち込んだものだとか…由来には諸説ありますが、
いずれも定かではありません。
ただはっきりしているのは、紀元前500年頃にはすでにマルタ島からもたらされた
白色長毛の犬がギリシャで陶器に描かれていたということ。
地中海気候の島に隔離された小型犬はそこで交配が重ねられ、
ついにこの美しい姿へと固定されるに至ったのです。
ひとつの犬種を生み出すからには目的があり、
多くは「牧羊」や「狩猟」、時には「神事」に供するため、
性質や形状が固定されていきます。
世界の犬のほとんどが最初は使役犬出身。
そこからサイズを小型化して愛玩犬が作り出されることが多いのです。
けれどもマルチーズは、最初から「愛玩」目的に作られた犬。
これは世界に(非公認も含め)700〜800種もあると言われる犬種の中でも
非常に稀なケースなのです。
マルチーズはその朗らかな性格から
「マルチーズテリア」と呼ばれることもあったそうです。
けれどもチワワに似た犬も同じように呼ばれていたことから、
本当のマルチーズテリアがどちらなのか…今となっては真相は不明です。
なぜなら現在、マルタ島における初期のマルチーズは絶滅してしまったからです。
現在かの地は、猫が人口の倍の70万匹を超えるという猫の島になってしまっています。
欧米各国に持ち出されたマルチーズはショーにも登場。
1877年にはアメリカでマルチーズ・ライオンドッグの名称で出品されました。
アメリカ最大のケンネルクラブ、AKCで公認されたのは1888年。
それまではマルチーズ・スカイテリアという名称で、
明らかに有色のマルチーズが出品されたこともあったそうです。
現在のマルチーズは白色のみ。
このカラーとサイズは実に日本人好みで、
なんと1968年から1984年まで、
16年間も登録数トップの座に輝き続けたということです。
トイプードル
チワワ
ミニチュアシュナウザー
パグ
ジャックラッセルテリア